クレオパトラ~古代エジプトの”絶世の美女”はバラの香りの不思議な力を利用した才女だった!?

その昔、香りは神様への贈り物でした。
不思議なことに、神様に喜んでいただくための良い香りは、そこにいる人々にも幸せな気分をもたらしました。

そう、香りには不思議な力があるのです。

このことに気づいた人々は、しだいに香りの力を有効に使うようになっていきます。

香りの力を利用して、権力の座についた最初の人物は、クレオパトラだと言われています。
クレオパトラが使った香りは、バラ。

今回は、花の女王とも言われるバラの香りと、絶世の美女クレオパトラのお話をご紹介いたします。

 

 

バラがクレオパトラに愛されるまでの歴史

太古の昔より、世界中の人々に愛されてきた花、バラ。
バラが登場する最も古い記録は、紀元前2000年頃に成立した、古代バビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』です。主人公ギルガメシュが、永遠の命を求めて旅に出るのですが、その中で「永遠の命を与える草にはトゲがあり、バラのように手を刺すだろう」という描写があるそうです。
古代ギリシャの時代になると、バラは、愛と美の女神アフロディテを象徴する花となりました。

バラは、はじめ香料や薬を採るために栽培されました。紀元前1200年頃のペルシャ(今のイラン)周辺が、その起源と言われています。
ギリシャが衰退した後、アレクサンダー大王の東方遠征によって、東西の文明が融合、ヘレニズム文化が生まれます。
ヘレニズム文化の影響でバラはエジプトに渡り、クレオパトラの元に届いたのです。

 

バラを愛し利用したクレオパトラ

古代エジプト、プトレマイオス王朝最後の女王クレオパトラ(BC69~BC30)。
絶世の美女とか、美女の代名詞などとも言われるクレオパトラは、バラをこよなく愛していました。バラの花を浮かべたお風呂に入り、寝室にはバラの花を敷き詰めていたと伝えられています。

ユリウス・カエサルやアントニウスを出迎えたとき、クレオパトラは、バラの花や香油をふんだんに使用したそうです。バラの香りで、古代ローマの英雄たちを虜にし、エジプトの女王として君臨したのだとか。

クレオパトラが本当に絶世の美女だったのか?という話には諸説あり、真相は定かではありません。
ただ、自らを魅力的に見せるため、香りを武器として利用するほど、知性の高い人物ではあったようです。

 

絨毯の中からカエサルの前へ現れるクレオパトラ(ジャン=レオン・ジェローム画、1886年)出展:Wikimedia Commons

 

クレオパトラの時代より少し後、古代ローマのガイウス・プリニウス・セクンドゥス(大プリニウス、AD23~79)は、地理学、天文学、動植物など、さまざまな知識をまとめた「博物誌」を著しました。
「博物誌」には、バラの楽しみ方、栽培地ごとの特徴や、バラの香りの効果・効能が記されています。
クレオパトラが、バラの香りの効能を知っていて、戦略的に使用したと考えても、おかしくないんですね!

 

1669年版『博物誌』(出展:Wikimedia Commons)

 

最近の研究で、バラの香りは、100種を超える、非常に多くの成分が複雑に組み合わされてできていること、それぞれの成分に、鎮静、保湿、抗菌といった、様々な効能があることがわかってきました。

数多くの香料を組み合わせることで、魅惑的な香水が作られていきます。
このお話は、またあらためてご紹介いたしますね。

 

 

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