ハワイアンキルト ひと針ごとに聖なる力(マナ)を宿していく

キルト(Quilt)とは、2枚の布地の間に薄い綿をはさみ、表地から刺し子縫い(キルティング)を施したものを言います。世界中で様々な手法が伝わっています。

キルトは、寒いヨーロッパで誕生したと言われ、保温のために綿をはさむようになったそうです。世界に広まったのは、なんと十字軍の時代ですって!

 

Photo by Jeff Muceus from Portland, Oregon, USA

Photo by Jeff Muceus from Portland, Oregon, USA

キルトがハワイに伝わったのは19世紀のことです。キリスト教の宣教師たちがハワイにやってきたときに、パッチワークキルトをハワイに持ち込みました。それが独自に発展して、ハワイアンキルトが出来上がってきたのです。

パッチワークキルトは、大小さまざまなハギレを組み合わせて、変化にとんだデザインを作り上げていきます。でもハワイには、ハギレがありませんでした。そもそもハワイには、生地というものが存在していなかったのです。そこで、ハワイでは、大判の布を細かく裁断して、製作するようになりました。

ときには、敢えて対称にしないこともありますが、一般的には、1枚の布を8つに折りたたんでカットして、左右対称のモチーフを作るのが、ハワイアンキルトの特徴です。

このモチーフを、土台の生地の上に縫い付けます。アップリケと言います。アップリケが出来た後、刺し子刺しゅう(キルティング)を施していきます。ハワイアンキルトは、パッチワークキルトが伝わってきたのに、アップリケキルトとして発展したのですね!

 

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ハワイ諸島とそれぞれの島のレイをデザインした珍しいハワイアンキルト(キングカメハメハホテルにて)

ハワイアンキルトのデザインには、ウル(パンの木)やモンステラ、プルメリアやハイビスカスなど、ハワイの花や木がよく使われます。
先住ハワイ人たちは、花や木には精霊が宿っていると考えていました。ハワイの花や木のモチーフを、ひと針ひと針ていねいに縫い上げることで、キルトに聖なる力(マナ)を込めていたと言われます。

全てが手作業で行われるため、ハワイアンキルトの作品を完成させるには、大変な時間と労力がかかります。1つ1つの作品が宝物なんですね。1つの作品が完成した時の感動は、言葉では言い表せない程です。

 

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見事なキルトのベッドカバー(ラハイナ・インにて)

 

みんなで集まって、わいわいおしゃべりしながらキルトを縫うのって楽しいですよね。でも、ひとりで黙々とキルトを縫うと、本当にひと針ひと針に集中できて、気が付くと心がすっきりしちゃうんです。

みんなと一緒でも楽しいし、ひとりでも楽しい!
ハワイアンキルトには、不思議な魅力があるんですね!

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