ハワイがハワイであることを願う州歌「Hawai’i Pono’i(ハワイ・ポノイ)」~ハワイ王国時代から人々に愛され、歌い継がれている、この歌の正体とは
ハワイの音楽と言われると、どんな音楽を連想しますか?
ウクレレやギターの奏でる美しいメロディーでしょうか?あるいは荘厳なオリ(チャント)でしょうか?
いずれもハワイならではの素晴らしい音楽ですね!
今回は、ハワイ州の州歌「Hawai’i Pono’i(ハワイ・ポノイ)」について、ご紹介させていただきます。
ハワイの音楽、その原点は、大自然や神々に捧げた祈りに遡ります。
楽器は、ほとんどが打楽器でした。メロディではなくビートを刻み、そのビートに合わせて人々は歌い、踊りました。
ハワイに西洋音楽がもたらされたのは、18世紀以降のことです。
キリスト教の宣教師によって、讃美歌がハワイにやってきました。讃美歌(英語でHymn)は、ハワイ語に翻訳され「ヒメニ」と呼ばれ、人々に愛唱されるようになっていきました。
その後、ハワイ語で歌われる歌も、讃美歌のようなメロディを持つようになっていったのです
そんな時代にハワイ王国の国歌「Hawai’i Pono’i(ハワイ・ポノイ)」は作られました。
作詞はカラカウア王自らが行いました。そして作曲は、ロイヤル・ハワイアン・バンドを率いたヘンリー・バーガーです。
ヘンリ・バーガーのこと
ヘンリー・バーガー(1844~1929)は、プロイセン王国の首都、ベルリンの出身です。
ハワイの国民に音楽をプレゼントしたいと考えたカメハメハ5世が、ドイツを統一(※)したばかりの皇帝、ヴィルヘルム1世にお願いしたことがきっかけで、1872年にハワイに派遣されました。
※プロイセン王国は、1862年の普仏戦争の勝利によりドイツ統一を達成。このとき活躍した首相が「鉄血宰相」ビスマルクです。
ヘンリー・バーガーは、 1929年に亡くなるまでの間、ずっとハワイに留まり、ロイヤル・ハワイアン・バンドの指揮者としてバンドを率いていきました。亡くなるまでに、300曲近くの作曲と、1000曲を超えるアレンジを残しました。
ヘンリー・バーバーは、リリウオカラニ女王とも親交が深く、女王から「Father of Hawaiian Music」という称号を与えられています。
1995年に、ハワイアン・ミュージックの殿堂入りを果たしたヘンリ・バーガーは、今、ハワイ最古のキリスト教教会、ホノルルのカワイアハオ教会に、静かに眠っています。
”Hawai’i Pono’i”とは、直訳すると”ハワイそのもの”という意味になります。
「Hawai’i Pono’i(ハワイ・ポノイ)」は、ハワイを統一し、ハワイをハワイたらしめたカメハメハ大王を讃えると同時に、若い世代に、ハワイがハワイであることを受け継ぐように、力強く語りかけている、カラカウア王からのメッセージでもあるのですね。
「Hawai’i Pono’i(ハワイ・ポノイ)」は、ハワイ王国が滅びた後も、ハワイの人々によって歌い継がれました。
ハワイは、1959年にアメリカ合衆国の50番目の州に昇格。そして1967年、Hawai’i Pono’i(ハワイ・ポノイ)」は、ハワイ州の州歌として定められました。
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