野崎島~無人島に佇む、潜伏キリシタンの祈りが込められた教会の幻想的な風景を~

旧野首教会(Photo by Keiko Suganuma)

広い草原と青い海、強風によって複雑な形になった木々・・・
最後の住人が去り、現在は無人島となった長崎県、五島列島の「野崎島」、潜伏キリシタンたちがひっそりと暮らしていた“祈りの島”です。

かつて暮らしていた人々の面影や想いを、今も雄弁に伝える野崎島をご紹介いたします。

 

旧野首教会

野崎島の中心部、小学校の跡地に近い山の中腹に、レンガ作りの教会が佇んでいます。
潜伏キリシタンとして生き抜いてきた、野首集落の信者たちが建てた「旧野首教会」です。
江戸時代からのキリスト教の弾圧が終わり、信者たちは、やっと教会を建てる事ができるようになりました。

 

教会内部は木造と漆喰でできており、リブヴォールトと呼ばれる天井のアーチが美しい

 

明治41年に完成したこの教会は、17戸しかない集落の信者たちによって建てられました。
総工費3000円、現在の価値に換算にすると2億円にもなるこの費用を、信者たちはキビナゴ漁や食事回数を減らして集めたといいます。

信者達は貧しく、銀行も融資を行ってくれませんでした。
建築家は支払いが行われるのか不安だったそうですが、信者達は現金一括で支払いを終えたそうです。

信者たちの、教会に対する強い想いが伝わるエピソードですね!

 

つばきとキリスト教

旧野首教会には、美しいステンドグラスがあります。
ステンドグラスがかたどっているのは、五島列島の花「つばき」です。
本来、つばきの花びらは5枚なのですが、ステンドグラスのモチーフは4枚になっています。
キリストが架けられた十字架を意味しているそうです。

 

ガラスの一つひとつに、信者たちの強い思いが込められています

 

野首海岸

旧野首教会から少し行った所に、白い砂浜の海岸が広がります。
野首海岸です。
海の青さに見入ってしまうはず!

 

透明度の高い海が広がる野首海岸

 

野崎集落

かつて人が住んでいた3つの集落のうち、一番大きな集落跡です。
島民たちが去った後もそのまま残された家は、わずか50年足らずの間に激しく劣化し、過酷な自然環境を物語っています。
この廃屋の周りを散歩する事ができ、当時の面影を忍ぶ事ができます。

朽ちた家には木々が絡みつき、自然の強さを感じます

 

野生のシカ

野崎島には、野生のシカが多く生存しています。
島を散歩すると、今の島の主、野生のシカたちが、来訪者たちをじっと見つめている、という光景に出会います。

 

人に慣れていないシカ達は、遠くから来訪者を見つめます

 

野崎島は福岡からフェリーで小値賀島に渡り、そこから定期の町民船で渡ることができます。
GWから夏にかけてはベストシーズン。
今年の旅行では、過酷な自然環境で暮らした、潜伏キリシタン達に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

野崎島の公式サイトはこちらから

 

※「隠れキリシタン」に関する表記について
一般に、江戸時代の禁教令以降、仏教を信仰していると見せかけ、キリスト教を密かに信仰してきた人々を「潜伏キリシタン」と言います。
明治時代になって、禁教令が解かれた後もキリスト教に戻らず、江戸時代の信仰を守り抜いている人々を「カクレキリシタン」または「かくれキリシタン」と言います。
両者を区別しない総称として「隠れキリシタン」と表記することもありますが、野崎島の人々は「潜伏キリシタン」に該当いたしますため、表記を「潜伏キリシタン」に統一させていただきました。(2018年5月2日追記) 

 

※2018年6月30日、バーレーンの首都マナマで開催された、国連教育科学文化機関(ユネスコ)第42回世界遺産委員会で、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産への登録が決定しました!おめでとうございます!

 

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