ハワイ諸島の海峡の名前に、今も息づく古代ハワイ人たちの故郷への想いを探る

故郷の島々を、山や海、いにしえの首長の名前を使って、詩的に表現してきた古代ハワイの人々。そこからは、古代ハワイの人々が持つ、故郷への想い~愛や誇り~が見えてきます。ハワイがアメリカ領となった今でも、古代ハワイの人々の想いは、ハワイ語の地名として生きています。
今回は、ハワイの海<ハワイ諸島の海峡>の名前を、西から東に向かってご紹介させていただきます。
地球規模で見ると、ハワイはごく小さなエリアですが、それぞれの海峡には、水深や海流、風の強さなど、とっても豊かな個性があるんですよ!
 

出展:Wikimedia Commons

 
①カウラカヒ海峡(Kaulakahi Channel)

ニイハウ島とカウアイ島の間に横たわる海峡です。
ニイハウ島とカウアイ島の距離は約27㎞。ニイハウ島よりも西からミッドウェイ環礁までは、北西ハワイ諸島になりますので、ハワイ諸島の中で、最も北西にある海峡がカウラカヒ海峡です。

 
②カイエイエヴァホ海峡(Ka’ie’iewaho Channel)

カウアイ島とオアフ島の間の海峡で、カウアイ海峡とも呼ばれます。
カウアイ島とオアフ島は、ハワイ諸島の中で最も遠く離れています。その距離は約116㎞。最大深度は3000mを超え、最も深い海域でもあります。
海峡名は「イエイエの外側」という意味。ハワイの固有植物イエイエにちなんだ名前です。
 

夜明けのカイウイ海峡からモロカイ島を望む(Photo by Kichiya Suzuki)

 
③カイウイ海峡(Kaiwi Channel)

オアフ島とモロカイ島の間の海峡で、モロカイ海峡とも呼ばれます。
カイウイとは「骨」という意味。強風・強い潮流・ジェットコースターのような大きなうなりで、世界で最も過酷な海路のひとつと言われています。

カイウイ海峡では、カヌー大会「モロカイホー(Molokai Hoe Canoe Race)」が毎年開催され、世界中のパドラーたちが集います。

☆「モロカイホー」のホームページはこちらです。(英語のサイトです)

最大水深701mのカイウイ海峡には、ペンギンバンクと呼ばれる浅い水域があります。幅16km、長さ32㎞、水深60mのエリアで、その正体は、なんと水没した火山なんですって!ペンギンバンクは、素晴らしい漁場でもあります。

 
④カロヒ海峡(Kalohi Channel)

モロカイ島とラナイ島の間の海峡です。
「遅い」という意味とは相反して、カロヒ海峡は、強風と荒波のため、頻繁に船が沈没する危険な水域です。
第二次世界大戦後は、この水域に船を沈めるのが、最も安価な船の処分方法だったのだとか。

 
⑤パイロロ海峡(Pailolo Channel)

モロカイ島とマウイ島の間の海峡で、「クレイジーフィッシャーマン」という意味です。
風が強く、いつでも海が荒れていて、ここを航海しようとするのはクレイジーだ!という水域。釣り人もサーファーも近寄らないそうです。
 

冬のアウアウ海峡、ホエール・ウォッチングも楽しめます(Photo by Kichiya Suzuki)

 
⑥アウアウ海峡(’Au’au Channel)

ラナイ島とマウイ島の間の海峡。アウアウとは「お風呂に入る」という意味。波の穏やかな海峡です。
ハワイ諸島の海峡の中で最も浅く、水深は77m。北にはモロカイ島、南にはカホオラヴェ島があり、四方を島で守られた海峡でもあります。

冬になると、アウアウ海峡には、ザトウクジラが出産と子育てのために集まってきます。マウイ島西海岸の古都・ラハイナが捕鯨産業の中心だった時代は、このエリアは捕鯨船でいっぱいだったそうです。

 
⑦ケアライカヒキ海峡(Kealaikahiki Channel)

ラナイ島とカホオラヴェ島の間の海峡で、意味は「タヒチへの途」
古代ハワイの人々は、ハワイ諸島の外に航海するとき、必ずこの海峡から出発したそうです。ケアライカヒキ海峡からまっすぐ南に向かうと、タヒチに着けるので、この名がついたのだとか。
 

マウイ島から望むカホオラヴェ島(Photo by Kichiya Suzuki)

 
⑧アララケイキ海峡(’Alalakeiki Channel)

カホオラヴェ島とマウイ島の間の海峡です。「泣く子ども」という意味です。
距離は約10㎞、最大水深は約250mです。

 
⑨アレヌイハハ海峡(’Alenuihaha Channel)

ハワイ諸島で最も東南にあるアレヌイハハ海峡は、マウイ島とハワイ島という、ハワイ諸島最大の2島の間に横たわっています。距離は約47㎞、最大水深は約2000m。「大波が打ち砕く」といった意味です。サーフィンが盛んな海域でもあるそうです。
 

北西ハワイ諸島とハワイ諸島(出展:Wikimedia Commons)

 
現在は無人島ばかりの北西ハワイ諸島にも、その昔人々が暮らしていた遺跡が残されています。海峡の名前もまた、古代ハワイの人々の世界観を表現しています。その一部をご紹介させていただきますね。

ニイハウ島とすぐお隣レフア島の間の海峡は、「最初の始まり」を意味する、クムカヒ海峡(Kumukahi Channel)と言います。レフア島は、ニイハウ島の北、わずか1㎞の距離にある三日月形の小さな島です。

レフア島とニホア島の間の海峡は、「料理する」という意味の、ホオモア海峡(Ho’omo’a Channel)、そしてニホア島の北西には、ハワイの神話で、全てのハワイ人の先祖と言われる英雄ハワイロアの名を持つ、ハワイロア海峡(Hawai’iloa Channel)が横たわっています。

 
ハワイの人々が持っていた自然や文化、そして故郷を大切にする心、私たちも大切にしていきたいですね。
ムスビックは美しい自然や文化の伝承を応援します!

 
☆こちらの記事では、ハワイの各島を象徴する山をご紹介しております。
写真手前はマウイ島の最高峰ハレアカラ。向こう側に見えているのは、ハワイ島のマウナケアとマウナロア、その間に横たわる海峡が、アレヌイハハ海峡です。


あなたは、人から出身地をたずねられた時、何と答えますか?ポリネシアの人々は、自分の出身地を伝えるとき、島の名前ではなく、島を象徴する山の名前を伝えるのだそうです。

情報源: ハワイの8つの島を象徴する山々は、ハワイの人たちのどんな想いを表しているのだろう?

 

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