ハワイ島 ワイピオ渓谷

ハワイの島々の呼び名に込められた人々の想いを探る!~島を代表する”首長【アリイ・ヌイ】”

ハワイの島々は、いろいろな呼び名を持っています。それは島の特徴を表した言葉だったり、島を代表する山や、偉大な首長の名前だったり。

たとえば、世界的なリゾート地ワイキキのあるオアフ島は、「ギャザリング・プレイス(人が集まる場所)」「カアラ(山の名前)の島」「首長カクヒヘヴァの島」といったぐあいです。

共通しているのは、みんな故郷への敬愛の想いが込められていることでしょうか。
今回は、各島を代表する首長「アリイ・ヌイ」をご紹介させていただきます。

 

ハワイ島 ポロル渓谷

ハワイ島北部のポロル渓谷、かつてはタロイモの栽培地でした(Photo by Kichiya Suzuki)

 
カメハメハ大王がハワイを統一する前、ハワイは首長「アリイ」によって治められていました。そのアリイたちの頂点に立つ人は「アリイ・ヌイ」または「モイ」と呼ばれました。
アリイ・ヌイたちが、ハワイの各島、大きな島の場合は島の一部「モク」を、支配していたのです。

ハワイの島々には、優れた首長の伝説が残されています。その首長の名前が島の別名として残り、今もハワイの人々は、その名前で島を呼ぶことによって、首長への尊敬の想いを語り継いでいます。

 
ハワイ島 ケアヴェ
’O Hawai’i nui kuauli, Hawai’i o Keawe
ハワイ島、広大な緑の島、首長ケアヴェの島

ケアヴェは、カメハメハ大王の曽祖父にあたり、17世紀にハワイ島を支配した方です。とても賢明で、繁栄と平和をもたらした方と伝えられています。

 

ハワイ島 プウコホラヘイアウ

ハワイ島コハラコーストのプウコホラヘイアウ、カメハメハ大王がハワイ諸島統一を祈願して戦いの神クーのために建造した石造りの祭壇です(Photo by Kichiya Suzuki)

 

マウイ島 ピイラニ
’O Maui o na Hano o Pi’ilani, Maui no ka ‘oi
マウイ島、いくつもの湾が連なる、ピイラニの島、マウイは素晴らしい

ピイラニは、16世紀にマウイを治めた首長です。ピイラニの時代にマウイは統一され、黄金期を迎えました。その後カメハメハ大王によるハワイ統一までの間、マウイはピイラニの子孫によって統治されていました。
ピイラニは、マウイ島を一周する道路”ピイラニ・ハイウェイ”の建設を始めました。今でも、この時代に作られた古い道を、そのまま使用している場所もあるんですよ!

 
カホオラヴェ島 カナロア
Aloha kuʻu moku ʻo Kahoʻolawe
Mai kinohi kou inoa ʻo Kanaloa
愛しい島、カホオラヴェ。元の名前はカナロア

カホオラヴェ島のかつて島の呼び名カナロアとは、ハワイの4大神のひとり、海の神様の名前です。海の神様カナロアに奉げられた聖なる島、それがカホオラヴェ島なのです。

 

マウイ島 ラハイナ 天使の梯子

マウイ島ラハイナに現れた幻想的な光景”天使の梯子”
いにしえの首長たちが降臨しそうな神々しさ!(Photo by Kichiya Suzuki)

 

ラナイ島 カウルラアウ
’O Lana’i a Kaulula’au, hiehie ia Lana’ihale
ラナイ島、カウルラアウの領地、ラナイハレの峰が際立つ島

カウルラアウは、マウイ島の王子。いたずらが過ぎて父王カアラネによって、当時悪霊がたくさんいると信じられていたラナイ島に追放されました。でも、悪霊を退治して、ラナイ島を人が住めるような島に変えたカウルラアウは、ラナイ島の英雄として讃えられています。

 
モロカイ島 ヒナ
‘O Moloka’i nui a Hina, lei ana i ke kukui
偉大なモロカイは女神ヒナの子、ククイのレイをかけている

ハワイに伝わる創世神話によると、ハワイ諸島は、ワケアとパパの夫婦によって島が生まれていきます。モロカイ島は、パパの不在中に女神ヒナが生んだ島とされています。

 

オアフ島 クカニロコ

カクヒヘヴァをはじめ、王家の人々の多くがここで生まれたと伝えられるオアフ島中央部のクカニロコ”バースストーン”

 

オアフ島 カクヒヘヴァ
’O O’ahu, ka ‘onohi o ke kai, O’ahu o Kakuhihewa
オアフ島、海の宝石、カクヒヘヴァ王の島

カクヒヘヴァは、16~17世紀にオアフ島を治めた首長です。文武両道に長け、人々に平和と繁栄をもたらし、オアフ島の黄金時代を築いた偉大な首長と伝えられています。

 
カウアイ島 マノカラニポvsカウムアリイ!?
Maika’i Kaua’i, hemolele i ka malie, Kaua’i o Manokalanipo
素敵なカウアイ、静けさの中で穏やかに、島の首長はマノカラニポ

マノカラニポは、15世紀にカウアイ島を治めた第8代首長です。マノカラニポは、他部族との戦争をせず、農業や産業を奨励して、カウアイ島の黄金期を築いたと伝えられています。

ところで、近年カウアイ島では、島を2分する論争が起きているそうです!
島を代表する首長は、マノカラニポではなくカウムアリイだ!という意見が出ているのだとか。

カウムアリイは、カウアイ島の23代首長で、カウアイ島が独立していた時代の最後の首長。カメハメハ大王が、唯一武力で倒せなかった首長でもあります。カウムアリイはカメハメハ勢との戦争を避け、カウムアリイの治めていたカウアイ島とニイハウ島は、平和的にハワイ王国に加入しました。

さて、マノカラニポとカウムアリイ、一体どちらに軍配が上がるのでしょうか?

 

日本の農村にも見えるカウアイ島北部ハナレイ渓谷の眺め

 
ニイハウ島 カヘレラニ
E Ni’hau o Kahelelani, He ‘aina lua ‘ole ku i ka nani.
首長カヘレラニのニイハウ島よ、その美しさは他の土地とは比べものになりません

カヘレラニは、ニイハウ島を治めた最初の首長です。
ニイハウ島特産のニイハウシェルの中で、最も高級とされる赤い種類のシェルをカヘレラニと呼びます。カヘレラニ首長にちなんだ名前です。
現在は島全体が私有地であるニイハウ島。島の美しさは、私たちは想像するしかありません。

 

ニイハウシェルレイ フラ フラダンス ハワイ ニイハウ島

一番内側の赤いシェルが、ニイハウシェルの中でも最も希少な”カヘレラニ”です(写真協力:フラダンス教室カレイヒイマクア様)

 
さて、日本では?

あなたの出身地を代表する首長はどなただと思いますか?
東京出身の方だったら…江戸幕府を開いた徳川家康?それとも江戸城を築いた太田道灌?
これもまた楽しい論争ができそうですね!

故郷に伝わる歴史や伝説、私たちも大切に伝え残していきたいですね!

 
※ハワイの島々を象徴する山については、こちらの記事をご覧くださいね。


あなたは、人から出身地をたずねられた時、何と答えますか?ハワイを含むポリネシアの人々は、自分の出身地を伝えるとき、島の名前ではなく、島を象徴する山の名前を伝えるのだそうです。

情報源: ハワイの山~ハワイの8つの島を象徴する山々は、人々のどんな想いを表しているのだろう? ⋆ MUSBIC/ムスビック

 

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