百人一首かるたの歌人エピソード第61番~伊勢大輔、プレッシャーの中でチャンスをつかんだ新人女官
いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな
上司や先輩、取引先の偉い人たちが大勢いる前で、即興で歌を詠め!?
それはもう、大変なプレッシャーではありませんか!
”畳の上の格闘技”、競技かるたで使用される小倉百人一首から、今回ご紹介いたします伊勢大輔の歌は、まさにそんな状況で生まれました。
日本の春と言えば桜!
はるか昔には、神様の化身と考えられていたほど、私たち日本人が愛してやまない桜の花。
小倉百人一首にも、桜をテーマにした歌が6首あります。
その中で、平安時代中期の女流歌人、伊勢大輔の作品をご紹介させていただきます。
伊勢大輔ってどんな女性?
伊勢大輔(いせのたいふ/いせのおおすけ、989?~1060?)は、平安時代中期、一条天皇の中宮・藤原彰子(ふじわらのしょうし)に仕えた女官で、『源氏物語』の作者・紫式部の後輩になります。
ご自身が優れた歌人であるだけでなく、康資王母(やすすけおうのはは)、源兼俊母(みなもとのかねとしのはは)といった、優れた歌人たちの母君でもあります。
春。奈良から、八重桜が宮中に献上されました。
献上品を受け取るのは、大変なお役目です。はじめ紫式部が行うはずでしたが、紫式部はこの年、可愛がっていた新人・伊勢大輔に譲ることにしました。
宮中で”才女”として超有名な紫式部が推薦した新人・伊勢大輔に、周囲の人達は興味津々。そんな中、時の権利者、藤原道長は、伊勢大輔にその場で歌を詠むように命じます。
さあ大変!伊勢大輔の運命は・・・!?
遠い昔の都・奈良から、八重桜が届きました。かつての奈良の都の栄華をしのばせる、華やかな八重桜が、今はここ、京の都で、ひときわ美しく咲き誇っています。
大変なプレッシャーの中で、伊勢大輔が即興で詠んだのがこの歌。
「けふ九重に」の「けふ」は、「今日」と「京」をかけています。「九重」は、宮中を意味する言葉で、古代中国では、王城を九重の門で囲っていたことが由来だとか。
さらに、奈良は7、八重桜が8、九重が9、と数を並べているのにもご注目です。
描かれた風景の壮大さ!
散りばめられた高度な技巧!
何より、咲き誇る桜に託して、今の栄華をほめたたえた、見事な歌でした。
素晴らしい歌を即興で作ってしまった、新人女官の伊勢大輔、見事にプレッシャーをはねのけて結果を出し、周囲の人々の賞賛を受けることとなったのです。
チャンスが巡ってきた時って、プレッシャーも大きかったりします。
私たちも、伊勢大輔のように、プレッシャーに負けず、のびやかに自分の力を発揮したいものですね。
※”世界三大美女”のひとりと言われる、小野小町の桜の歌は、1000年の時を超えて、私たちにエールを送ってくれているようです。是非ご覧くださいね(#^^#)
花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせしまに
その生涯が謎に包まれているミステリアスな女性、小野小町。 世界三大美女のひとりとも言われる小野小町は、情熱的で優れた歌を数多く残し、今もなお人々の共感を集めています。
情報源: 百人一首かるたの歌人エピソード~ 小野小町から1000年の時を越えたエール!くよくよ思い悩んでいないで、歩いていこう!
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