
百人一首かるたの歌人エピソード第79番・左京大夫顕輔(あきすけ)~雲間にさす秋の月光の美しさよ!
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の 影のさやけさ
夏の暑さが過ぎ去り、吹く風の心地よさを感じる季節になると、月の光が格別美しく見えませんか?百人一首かるたの歌人エピソード、今回は第79番・左京大夫顕輔(さきょうのだいぶあきすけ)をご紹介いたします。
”畳の上の格闘技”とも呼ばれる競技かるたに使われる、小倉百人一首に収められている秋の歌は20首。そのほとんどが、もの悲しさや人の心の揺れを繊細に描いていますが、今回ご紹介する歌は、少し趣が異なります。

江戸時代末期の浮世絵師・歌川国芳の描いた左京大夫顕輔(出展:Wikimedia Commons)
平安末期の歌壇をけん引した「六条藤家」の2代目
左京大夫顕輔の本名は藤原顕輔(ふじわらのあきすけ)といいます。平安時代末期の方です。
顕輔の父、藤原顕季(ふじわらのあきすえ)は、政界でも歌壇でも大きな勢力を持っていました。顕季が六条烏丸に住んでいたことから、顕季の家系は後に「六条藤家」と呼ばれるようになります。
今回の主人公、顕輔はその二代目として活躍。第77番・崇徳院より歌集の勅撰の命を受けて『詞花和歌集』を完成させ、他の勅撰和歌集にも作品が数多く選ばれるなど、まさに当時の歌壇をけん引したと言える存在です。
六条藤家の歌風は、「万葉集」を尊重していて、シンプルで理知的と言われます。

六条藤家の家紋(出展:Wikimedia Commons)
秋風に吹かれて、横に長く伸びて流れる雲の切れ目から、こぼれ射してくる月の光の、なんと澄み切った美しさよ!
顕輔が描いたのは、秋の月夜の、心まで澄み渡るような幻想的な情景です。風に流れる雲の絶え間から、時折差し込む月の光。動きのある風景の中に、静けさがそっと広がっていて、他の月の歌とは一味違った情緒を醸し出しています。
月はいつも空にいますが、秋になるとその美しさがひときわ際立ち、私たちの心に深く染み入ってきますよね。だからこそ、お月見という風習は秋の風物詩として根付いたのかもしれませんね!
☆雲間に見える月も、こちらは少し寂し気?紫式部が幼友達への想いを、雲に隠れる月に込めて詠んでいます。
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな
畳の上の格闘技、競技かるたに使われる小倉百人一首には、12首の月の歌が選ばれています。その中から、幼友達との再会と別れを、雲間に消えた月になぞらえて詠んだ歌をご紹介させていただきます。
情報源: 百人一首かるたの歌人エピソード第57番〜内気な才女・紫式部、幼友達への想いを雲に隠れる月に込めて ⋆ MUSBIC/ムスビック
MUSBIC公式 Facebook ページ
この記事へのコメントはありません。