コア ハワイ 

ハワイ固有植物コア(Koa)~ハワイの伝統文化を支えてきた静かなる戦士

コア(koa)という木をご存知ですか?
コアは、ハワイ語で「勇気」「戦士」という意味を持ち、マナ(精霊)の宿る神聖な木材として、古くからハワイの人々に大切にされてきた樹木です。今でも、高級なウクレレや木工芸品の素材として大人気です。
今回は、ハワイの固有植物コアについて、ご紹介させていただきます。

 

コアで作られたウクレレ(出展:Wikimedia Commons)

 

マメ科の植物でアカシアの仲間であるコアは、ハワイ固有種の中でも、ハワイ諸島でしか見られない「エンデミック」に分類されます。ハワイ最大級の樹木で、大きいものは30mを超す高さにまで生長します。

コアの木材は、カーリーと呼ばれる、木の繊維層と直角に交わるトラ目の模様が特徴です。光り輝く見た目の美しさや優れた耐久性、また用途が似ていることから、”ハワイアン・マホガニー”とも言われますが、マホガニーの親戚ではないそうです。

 

コア 断面

コアの幹の断面(Photo by Forest & Kim Starr)

 

かつてコアの木材は、カヌーやサーフボードに用いられていました。葉を灰にしたものは子供用の薬に、樹皮はタパの染色に使われていました。コアは、ハワイの伝統文化を道具として支えていたのですね!

コアの切り出しは、神聖な儀式を行った後、石斧や手斧を使って行われました。
神聖な儀式を行ったコアで作られたカヌーは、風の精霊に助けられて、不思議な力を持つことがあったそうです。風が全く吹いていないときでも、鮫よりも速く進むことができたのだとか。

 

コア カヌー ハワイ

コアのカヌー(W Nowicki, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons)

 

ハワイ王国の時代になると、コアは家具や楽器の高級な木材として、人気が高まりました。
リリウオカラニ女王のピアノや、教会の長いす、説教台など、歴史的建造物に今も残されています。

しかし、この時代はコアの受難の時代でもありました。
18世紀末に西洋から食糧として持ち込まれた牛や羊の放牧、外来植物の繁殖などにより、コアの森は大幅に減少してしまいました。
今では、多くのボランティアの方たちにより、コアの保護と育成が行われています。

 

コアの花

黄色いボンボンのようなコアの花(Photo by Forest & Kim Starr)

 

コアには不思議な力があります。
窒素固定作用という、マメ科の植物に多くみられる力で、いわば根で窒素肥料を合成し、他の動植物の生育を助けています。

コアと同じように、資源の復活に務めているイリアヒ(ハワイ固有のビャクダン)を植えるときには、隣にコアを植えるのだそうです。
イリアヒの成分がコアを虫の害から守り、コアの合成する窒素養分が、イリアヒの成長を助けているのだとか。

 

コア ハワイ

ハワイの伝統文化を支えてきたコアの木(Photo by Forest & Kim Starr)

 

ハワイの伝統文化を支えてきた植物たちが、今、互いに協力して復活を目指しています。
ハワイの自然が復活する日を、私たちもそっと見守っていきたいですね。

 

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