百人一首かるたの歌人エピソード第46番・曾禰好忠(そねのよしただ)~歌一筋!でも恋の道は行方知れず?
由良の門を わたる舟人 かぢを絶え 行方も知らぬ 恋の道かな
何にも惑わされることなく、好きな道をただひたすらに突き進む生き方って、素敵ですよね!
”畳の上の格闘技”、競技かるたに使われる百人一首かるたの歌人エピソード、今回ご紹介いたします第46番・曾禰好忠(そねのよしただ)は、歌の道を一筋に歩んだ方です。官職に恵まれず、貴族たちにいじられながらも、好きな道を究めました。果たしてその行く末は?
曾禰好忠(そねのよしただ)は平安時代の”いじられキャラ”!?
曾禰好忠(そねのよしただ)は、平安時代中期の方。生没年はわかっていません。宮仕えの希望を持っていたものの官位には恵まれず、役職は下級の地方官止まりでした。貴族たちにいじられ放題だったという、かわいそうな記録も残っています。
でも和歌の才能に恵まれた好忠は、歌の道を一筋に歩んでいきました。好忠は、新しい言葉遣いや手法を積極的に取り入れた歌を数多く詠み、後世に残そうとしました。
残念なことに、曾禰好忠は同世代の歌人たちには、あまり影響を及ぼすことはできませんでした。しかし、好忠が生きた時代から100年あまりが過ぎた平安時代後期、好忠の歌は、高く評価されるようになりました。
好忠の死後に編纂された「拾遺集」をはじめとして、いくつもの勅撰和歌集に、好忠の歌はなんと94首も選ばれています。
由良の海峡を渡る船人が、梶をなくして途方に暮れているように、私の恋路もどうなるのかわからないのです
歌の道は一途に歩めても、恋の道は思うように進めないものなのか?
それとも、思うようにならない恋の道さえ歌のネタだったのか?
恋の行方がわからない不安な気持ちを、梶をなくしてさまよう舟にたとえたのは、今でこそすんなり理解できる表現ですが、曾禰好忠の生んだ新しい発想と言われています。
変わり者で偏屈な人物だったとも言われる曾禰好忠は、出世の夢はかないませんでしたが、後世に歌を残すという夢を見事にかなえました。
1000年の時を超えた今も、曾禰好忠の詠んだ数多くの優れた歌が伝え残っています。
※由良の門とは、京都・滋賀・福井の府県境三国岳から日本海に向かって流れる一級河川・由良川の河口のこと。京都府舞鶴市と宮津市の市境に位置します。由良川は流域の約9割が山地で、豊かな緑に恵まれています。
☆こちらの記事では、曾禰好忠の数少ない友人のひとり、第48番・源重光をご紹介しております。
風をいたみ 岩うつ浪の おのれのみ くだけてものを 思ふ頃かな ”畳の上の格闘技”、競技かるたは、一瞬を争う緊迫した競技ですが、使用される小倉百人一首の歌はとても抒情的。なんと半分近い43首が恋の歌です。
情報源: 百人一首かるたの歌人エピソード第48番・源重光~失恋だって、男らしくドラマチックにいこうぜ!? ⋆ MUSBIC/ムスビック
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