旧朝香宮邸~すぐ行ける、いつでも行ける! 世界一美しいアール・デコ建築を堪能するひとときを!
20世紀初頭、大きな戦争の狭間の時代、芸術やアートは、一部の特権階級の人たちのものから、一般大衆のものへと移行していきました。
そんな時代を象徴するのが、フランスで生まれたアール・デコ(Art Déco)。
ここ日本で、しかも都心で、世界でも稀に見る美しさの、アール・デコの建築物を堪能することができるんです!
都心のパワースポット、東京・白金台にあります、旧朝香宮邸、現在の東京都庭園美術館です。
年に1度、建物自体が公開され、普段立ち入ることのできないお部屋まで、見学させていただけます。
世界一美しいとも言われるアール・デコの館、旧朝香宮邸を、ほんの一部だけご紹介させていただきますね。
※写真は全て、撮影許可の出ている期間中に撮影したものです。
アール・デコの幕開け
19世紀末、「新しい芸術」という名の美術のトレンド、アール・ヌーボーが誕生しました。エレガントで繊細なデザインのアール・ヌーボーは、20世紀初頭にかけて、一世を風靡しました。
しかし大量生産できないデザインのアール・ヌーボーは、第一次世界大戦のぼっ発と共に、衰退していきます。
代わって登場したのが、直線的で合理的なアール・デコです。
人々が大量生産の商品を求め始めたこの時代、大衆が主人公となる時代の幕開けでもあります。
旧朝香宮邸の成り立ち
旧朝香宮邸は、上皇明仁様の大叔父様にあたられる、朝香宮鳩彦王(あさかのみややすひこおう、1887-1981)の本邸でした。
朝香宮鳩彦王は、長いフランスでの生活から、フランス文化、特にアール・デコ様式に強いご関心とご理解をお持ちで、本邸建設にあたり、アール・デコ様式を全面的に取り入れることとなったのです。
建設には約4年の歳月をかけ、1933年、フランスを代表するデザイナーや、日本の匠たちの粋が込められた、世にも美しい館が誕生しました。
終戦後、朝香宮家は1947年に皇籍を離脱し、館から退去。館は、吉田茂総理大臣の仮公邸となりました。
その後、迎賓館の時代を経て、旧朝香宮邸は、1983年に都立美術館として一般公開されるようになりました。現在は、国の重要文化財に指定されています。
ルネ・ラリックのガラス・レリーフに迎えられながら、正面玄関を入ると、最初に目を引くのが、ガラス製の大きな置き物、”香水塔”です。
アール・デコを代表するフランスのインテリアデザイナー、アンリ・ラパンの作品です。室内用の噴水ですが、上部の照明内部に香水を入れ、照明の熱によって香りを漂わせたことから、この名がつけられたのだとか。
良い香りの噴水が、お客様をお迎えする、最高級のおもてなしですね!
館の南側、お庭に面した大客室と大食堂は圧巻です!
旧朝香宮邸の中でも、最もアールデコの粋が集められているお部屋です。
このお部屋で行われたパーティーは、それはそれは素敵だったでしょうね!
旧朝香宮邸内に、階段は2ヶ所設置されています。
正面玄関側の第一階段には、3種類の大理石が使用され、アールデコらしい文様が施されています。
2階にある書斎です。
正方形の部屋の四隅に飾り棚が設置され、まるで円形のお部屋のように演出されています。
この書斎は、吉田茂元首相のお気に入りのお部屋だったそうです。窓から正面玄関を望むことができて、来訪者が誰なのか、すぐにわかったからですって!
ご家族の日常のお食事に使われた小食堂は、アール・デコに和のテイストが組み込まれています。
ほっとできるお部屋だったのでしょうね。
2018年に初公開となりましたのが、見晴らしの良い、屋上のサンルーム、ウィンターガーデンです。
温室として設けられたこのお部屋には、水道の蛇口や排水溝も設置されています。
芝生の広場、日本庭園、西洋庭園が配置されたお庭は、都会にあるとは思えない、緑の多い、静かな空間です。
のんびりと寛ぐ人がたくさんいらっしゃいました。
忙しい毎日、遠くにお出かけできなくても、ふと思い立った時に訪れることができる、すぐ近くの名所旧跡。
初夏の心地よい風に誘われるままに、美しいアール・デコ建築を堪能してみてはいかがですか?
※2020年の建物公開は、4月18日(土)から6月23日(火)までの予定です。
行ってみたい!と思われた方は、是非お出かけくださいね!
※東京都庭園美術館のホームページはこちらです。
MUSBIC公式 Facebook ページ
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。