伊吹山 百人一首 藤原実方

百人一首かるたの歌人エピソード第51番藤原実方朝臣~燃えるような恋は歌で始まる!?

かくとだに えやはいぶきの さしも草 さし知らじな 燃ゆる思ひを

和歌を贈って愛を伝え合った平安時代。”畳の上の格闘技”、競技かるたに使われる小倉百人一首には、男性が詠んだ恋の歌もたくさん登場します。今回は、第51番藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん)の歌をご紹介いたします。”燃える思い”なんて言われたら、嬉しいような恥ずかしいような・・・(#^^#)

 

歌と恋の達人、藤原実方朝臣(?~999年)

藤原実方は、平安時代中期の貴族・歌人です。花山天皇、一条天皇に仕えました。多くの女性との関係が歌に残っていて、お相手の中には清少納言の名前も!そんな実方は、紫式部が書き残した『源氏物語』の主人公、光源氏のモデルのひとりとも言われています。

実方は、順調に出世街道を歩んでいたものの、995年正月、突如陸奥の国(今の福島・宮城・岩手・青森)に飛ばされてしまいます。一条天皇の目の前で、同僚の藤原行成と口論になり、行成の冠を叩き落した行為を咎められての沙汰だったと言われています。
この時代、男性の冠を叩き落して髪を人前にさらすというのは、最大級の辱めだったそうです。男性は、自宅でくつろぐときも冠を外さなかったのですって!

陸奥の国に配流となったとき、一条天皇は実方に「陸奥の歌枕を見て参れ」とおっしゃったのだとか。和歌の名人に向かって、歌枕、つまり歌に登場する名所を見てきなさい、というのは、何ともおしゃれですね!

※実方が陸奥守を任じられたのは、実は左遷ではなく出世だったという説もあり、真相は定かではありません。

 

藤原実方朝臣 藤原行成  百人一首

自慢の歌をけなされて、怒りのあまり行成の冠を叩き落した実方(出展:Wikimedia Commons)

 

せめて、これほどまでに貴女が好きだと伝えたいのですができません。伊吹山のさしも草のように燃える思いを、あなたはご存知ないのでしょうね。

さしも草とは、ヨモギのことで、歌の舞台・伊吹山の名物でもあります。お灸に使うもぐさの原料になる植物ですので、それはそれはよく燃えます。
多くの女性との交際が伝わる実方、歌のやり取りで恋が始まったこの時代、恋愛上手は歌上手、というのは確かだったようです。

 

雀 藤原実方 百人一首

配流先の陸奥で亡くなった藤原実方の怨霊は雀になって都に戻ってきたのだとか(出展:Wikimedia Commons)

 

実方は、都に帰ることなく、赴任先で亡くなりました。都の人々の間で実方への同情が集まり、様々な伝説が生まれました。中には、雀に転生したなんて可愛らしい(?)ものもあります。

不遇な一生だったとしても、その歌が1000年の時を超えて、私たちの心をときめかせてくれる・・・優れた芸術は、悠久の時を軽々と超えていくのですね!

 
☆こちらの記事は、藤原実方の噂のお相手(?)、第62番清少納言をご紹介しております。ここでも藤原行成が登場します!


夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ 畳の上の格闘技、競技かるたに使われる小倉百人一首に登場する女性たちは、みな才能豊かです。

情報源: 百人一首かるたの歌人エピソード第62番清少納言~男女の仲を隔てる「逢坂の関」は難攻不落⁉ ⋆ MUSBIC/ムスビック

 

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